被相続人の保証債務を履行するために資産を譲渡した場合【不動産・税金相談室】

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Q 父親が友人の借入金の連帯保証人となっていましたが、友人が借入金の返済をまったくできない状態となってしまったため、父親が保証債務を履行することが確定してしまいました。

その矢先に父親が亡くなってしまったので、今回、相続により取得した不動産を売却して、保証債務を履行せざるを得なくなりました。そのため手元にほとんど現金が残らないのですが、この場合、不動産売却に係る税金の計算上、何らかの救済措置はないのでしょうか?

A 保証債務を履行するために不動産などを売却した場合には、所得がなかったものとする特例があります。

まず、相続人が行った行為が保証債務の履行に当てはまるかですが、父親の連帯保証人としての義務は、相続放棄をしない場合、相続人が引き継ぐことになります。
よって、連帯保証に係る債務を引き継いだ相続人が、連帯保証人として債務を弁済したことになりますので、保証債務の履行に当てはまります。

次に、この特例を受けるためには、次の3つの要件すべてに当てはまること必要です。

1.友人が既に債務を弁済できない状態であるときに、債務の保証をしたものでないこと。

2.保証債務を履行するために不動産などを売却していること。

3.履行をした債務の全部又は一部の金額が、友人から回収できなくなったこと(求償権が行使不能)。

つまり、「保証債務を履行するために不動産の譲渡」→「不動産の譲渡代金の全部または一部をもって保証債務の履行」→「その履行に伴って生じた求償権の全部または一部が行使不能」という流れが重要になってきます。

ここで注意点がいくつかあります。

父親が友人の借入金の連帯保証人となった際に、既に友人に資力がなく、保証債務の履行が確実であり、かつ求償権の行使不能であった場合には、友人に対する利益供与となるので、この特例の適用を受けることはできません。 

また、友人が無資力のため、求償権の行使が不可能であることが重要です。
友人に弁済能力がないため、将来的に回収できない場合がこれに該当します。
具体的には、自己破産をしていたり、失踪をしている場合などです。

したがって、友人に弁済能力があるのに、債権の回収(求償権の行使)をしないときは、この特例の適用は受けられません。

上記の適用要件をクリアすると、保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の特例の適用が受けられます。

所得がなかったものとされる金額は、次の3つのうち一番低い金額です。
 
1.肩代わりをした債務のうち、回収できなくなった金額
2.保証債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額
3.売却した不動産などの譲渡益の額

なお、確定申告をする際に、「保証債務の事実がわかる書類」「求償権が行使不能であるということを証する書類」を添付します。事実関係を客観的に証する必要があるということですね。
実際に申告する時は、必ず専門家にご相談するようにしてください。

《担当:利根川》

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