預かり敷金の処理方法について【不動産・税金相談室】

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Q 私は、長年賃貸経営に興味があり、まず手始めに中古マンションの1室を購入しました。すんなり賃借人も決まり、その際に敷金を10万円預かりました。
この敷金は、「賃貸借契約終了時」に10%の償却を行うことが賃貸借契約書で定められています。

この部分は、賃借人の方に返還をしない部分ですので、最終的に私の不動産所得ということになるかと思います。

先日、この件も含め、確定申告の相談に税務署へ行ってきたのですが、その際に「この敷金の償却分は、今年の不動産所得の収入として申告してください。」と言われました。
私としては、償却を行うのは「賃貸借契約終了時」であるため、その時点の収入として申告すべきだと思うのですが、なぜ、今年の収入としなければならないのでしょうか?

A ご質問者のように、不動産の賃貸借契約では、敷金という名目で預かったお金の一部を償却し、返還しないということがよく行われます。
※関西地方では、「敷引き」ともいいます。

返還しないため、大家さんの収入となることは、ご質問者もご承知のとおりですが、問題は「いつの収入とすべきか?」です。
答えは、賃貸借契約により「返還しない事が確定した時点」での収入とする、ということになります。

ということは、やはり、ご質問にもあるとおり、償却を行うのは「賃貸借契約終了時」であるため、「返還しないことが確定した時点」も「賃貸借契約終了時」となのではないか、と考えてしまいがちです。
しかし、よくよく考えてみると、「賃貸借契約終了時」とあるのは、あくまで「償却を行うタイミング」であって、「償却をするかしないか」の話ではありません。

「償却をする」ことさえ確定していれば、将来いずれかのタイミングで償却をされることは確実ですので、実際に償却という手続きを待つことなく、「返還しない事」は確定したと、いえます。

では、その「償却をすることが確定した時点」とはいつなのか、ということになります。それは「賃貸借契約」を交わしたことにより、償却は確定することになりますので、「契約締結時点」ということになります。
したがって、その時点での収入として、申告することとなります。

以上のとおり、敷金の償却分について、収入金額として申告するタイミングは、賃貸借契約締結がポイントということになります。
ただし、契約内容によっては、「契約締結時点」では「敷金を返還しないことが確定していない」ということもあります

たとえば、賃貸借期間中に家賃の未払いが発生したり、大家さんに対する損害賠償などが発生した場合に、償却前の敷金を充当するというような契約であったとします。
※敷金は、賃貸借契約終了時に10%償却という前提は、同じものとします。

この場合は、当然、賃貸借期間が終了するまで、償却部分の返還不要は確定しませんので、「契約終了時の収入」として申告することとなります。

また、よくあるのが「賃貸借期間に応じて償却金額が変わる」という契約です。
この場合は、「返還しないこと」は、契約締結時点で確定していますが、「それがいくらなのか?」は、契約期間が終了するまでわかりません。

金額がわからなければ、「契約締結時点」では、計上しようがありませんので、このような場合も「契約終了時の収入」ということになります。

いずれにしても、この敷金の償却部分の処理は、契約書をよく読み「いつ返還しないことが確定するのか?」を、判断することが重要になります。
くれぐれも、慎重な処理をするようご注意ください。

《担当:高橋》

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