居抜き譲渡【不動産・税金相談室】

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土地建物所有者

Q 飲食店用の賃貸物件を所有しておりましたが、テナントの撤退に伴い、この物件を居抜きで譲渡することにしました。
譲渡をするのは、土地、建物、その他店内設備一式です。譲渡所得の計算はどのようにすればよいでしょうか?

A 同業種の事業を行っている者同士では、退去の際、内装などの取り壊しをせず、そのままの状態で譲渡をする「居抜き譲渡」が行われることがあります。

売る側としては、内装等の取り壊し代が節約でき、買う側としても開業にあたっての初期投資費用を抑えることができるため、両者にとってメリットのある取り引きです。

その対価については、譲渡するもの全体でいくら、というように包括的に決められる場合が多いようです。
しかし、売る側の譲渡による税金計算は、個々の資産を別々に譲渡したものとして、行わなければなりません。

土地・建物であれば分離課税、厨房器具などについては総合課税、その上で所有期間についても、それぞれ長期(5年超)と、短期(5年以下)を区分して計算します。
それぞれ税金の計算方法が異なり、税金の額も違ってきます。

したがって、譲渡契約自体は包括的な金額で行われたとしても、その内訳については明記しておく必要があります。

たとえば、契約書には「この譲渡一式を、5,000万円で合意する」と記載したとします。
この場合も、内訳として、土地・建物の額を別途明記するのはもちろんのこと、厨房設備なども「厨房設備一式」ではなく「冷蔵庫8万円、オーブン5万円・・・」というように、できるだけ詳細に値決めをすることがポイントとなってきます。

記載方法は、契約書に盛り込む形でも、リストを別紙で添付する形でも構いません。
この点を整備しておかないと、売る側としては、正しい所得区分での税金計算ができなくなります。

また、買う側も、資産計上しなければならないもの、購入時に費用処理できるものが明確にならないため、結果として初期投資時点での税負担が増えることになります。

厨房設備などは、譲渡損失が生じることも多いため、他の所得との損益通算や、損失の繰越控除をおこなうためにも、内訳を明記しておくことが非常に有効となります。

ご質問者の場合は、賃貸物件の所有者という立場での譲渡のようですが「物件の所有者=経営者」という場合には、棚卸資産や、従業員を一緒に譲渡するケースもでてきます。

この場合にも、注意すべき点がいくつかあります。
棚卸資産の譲渡は、譲渡所得ではなく、事業所得として計算をするということ。
従業員や店名などを引き継ぐ場合には、営業権が発生することがあり、営業権は譲渡所得の総合課税として計算をするということです。

居抜き譲渡は、すべてを売りたい人と、すべてを買いたい人の、トータル価値での取引となるため、その価格は一体のものとして考えられることが多いものです。

ただし、税金計算や、会計処理は、一体としてではなく、個々の処理として行う必要があるため、契約書等の作成にあたっては、その点をご留意いただきたいと思います。

《担当:後藤》

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