相続分の譲渡について【不動産・税金相談室】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
b4fdfa369391566ebe2bef443486fc95_s

Q 昨年、父が亡くなったため、家族内で遺産分割協議をしております。
法定相続人は、母と私(長男)、次男および三男の4人ですが、次男のみ反対的な意見であるため、遺産分割協議が一向に進みません。

元々面倒が苦手な三男は「相続放棄」することも考えたようですが、既に相続放棄の期間が経過していること、また全く権利を放棄してしまうことになることから、私に対して「法定相続分の譲渡」をしたいそうです。

相続財産は自宅の不動産と現預金ですが、不動産の価値が大きいため財産の大部分が不動産となります。
この場合、不動産の相続税評価額のうち、三男の法定相続分の金額で私が買い取ることになるのでしょうか。

A 法定相続分の譲渡にあたっては、必ずしも有償である必要はありませんので、まずは三男の方との話し合いにより、有償か無償か、決めていただく必要があるでしょう。

また、仮に有償となった場合でも、本来は未分割である相続財産全体(不動産と現預金)に対する法定相続分を譲渡するわけですから、土地のみを買い取りの対象として計算することは、後々のトラブルの原因にもなりかねません。

実務的には、全体の相続財産のうち、三男の方の法定相続分の価値をお互い理解しながら、その譲渡が無償なのか、有償であればどの程度の金額とするのかを、決めていただければと思います。

もちろん、有償の対価が現金ではなく、ご相談者の固有の財産(不動産や有価証券など)といったケースもあるでしょう。
その場合には、ご相談者がいったん三男の方に、時価で売却したものとみなして、譲渡所得税が生じることとなりますので、ご注意ください。

このような取り扱いは代償分割と同様と考えられます。
つまり、法定相続分の譲渡を有償で行う場合には、税務上は代償分割と同様の取り扱いが行われるわけです。
(民法上では、代償分割と法定相続分の譲渡は区別して理解されます)

一方、無償の場合はどのような取り扱いでしょうか。
この場合は「遺産分割協議の結果、三男は何も相続しなかった」ものと同様に考えられますので、贈与税や相続税の問題は生じません。

ただし、これらの取り扱いがされるのは法定相続人間であるケースです。
法定相続人でない自分の子(被相続人にとっての孫)や、第三者に譲渡するということであれば、それが有償であれば譲渡した側に譲渡所得税が、無償であれば譲渡された側に、贈与税が課税されることとなります。

なお、法定相続分の譲渡があったといっても、その遺産相続について未分割である状態は変わりませんので、遺産分割協議が確定していることが条件となる「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」は、受けることができませんので、ご注意ください。

《担当:樋口》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る