借金による相続税対策【不動産・税金相談室】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
b4fdfa369391566ebe2bef443486fc95_s

Q 先日、あるセミナーで「借金をしてアパートを建てると相続税対策になる」という話を聞きましたが、私が所有している遊休地の地域事情を考慮すると、アパート経営のリスクが高そうです。

アパートを建築せず、単純に借金のみした場合であっても、相続税対策として効果はあるのでしょうか。

A ご質問のように、借金をしただけでは、相続税対策としての効果がありません。

現預金を、不動産等の他の資産に「転換」することが相続税対策になるのであり、借金自体が相続税対策ではないためです。

例えば、3千万円の現預金と、5千万円の不動産を所有されている方の相続財産は合計8千万円になりますが、そこに1億円を借金したケースを想定してみてください。

元々、8千万円の財産がありましたが、借金により現預金が1億円増えますので、合計1億8千万円の財産となります。

一方、借金したことにより債務控除を受けられますので、借入金1億円が控除され、差引きすると相続財産は、借金前と同じく8千万円です。

借金が有っても無くても相続財産に変化はなく、借金自体には相続税対策としての効果がないこととなります。

相続税対策のポイントは、前述のとおり「評価の下がる」他の資産に変えることですから、ご質問のケースに当てはめると、現預金がアパートに変わって初めて相続税対策になるわけです。

1億円の資金を用いてアパートを建築した場合、そのアパートの土地の評価は元の評価額の8割程度に、アパート建物の評価は建築価額の5割程度に下がり、貸家の評価減もあります。

つまり、1億円の現預金がアパートになることで、数千万円の評価減となる仕組みです。

したがって、現預金の余裕があれば借金をせずとも、手元資金でアパートを建築しても同様の効果があります。

相続税対策等でお客様とお話をしていると、借金自体に相続税対策があるかのように思われている方も多いようですが、借金はあくまでも評価の下がる資産に転換するための手段でしかないのです。

また、ご質問ではアパート経営のリスクについても事前に考慮されていらっしゃいますが、よくある事例では相続税対策の一面のみに捉われて、アパート経営の本質的なメリット・デメリットを見落としがちになってしまうことも多いようです。

大きな金額を伴う対策ですから、税の問題だけでなく物件や賃貸など様々な専門家と相談の上で、安心できる対策を講じていただきたいと思います。

《担当:樋口》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る