余命宣告からの贈与対策【不動産・税金相談室】

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Heart

Q この度、ステージが進行してしまった癌が発覚し、5年生存率は10%以下と診断されています。
妻や子供達に生前贈与など相続税対策を行いたいと思いますが、死亡から3年以内に贈与した財産については相続税に含まれてしまうと聞きました。

余命宣告を受けているような状況で、仮に3年以内に死亡してしまった場合であっても効果のある生前贈与の方法はあるのでしょうか。

A ご相談のとおり、死亡の日からさかのぼって3年以内に贈与された財産については、相続税の計算上その贈与財産を加算しなければならず、また、加算された贈与財産に対応する贈与税についても、加算された人の相続税の計算上控除されることとなります。

つまり、生前贈与対策を行っても、死亡の3年内であれば相続税の計算に含まれてしまうため、結果的に対策の効果が得られないわけです。

ただし、全ての贈与がこの対象となるとは限りません。

今からできる生前贈与の対策としては以下のものが考えられますので、ご自身やご家族の状況を踏まえ、実行可能な対策を行ってみてはいかがでしょうか。

1.贈与税の配偶者控除の活用

婚姻期間20年以上のご夫婦の場合、配偶者に対して居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、2000万円まで控除(配偶者控除)を受けることができます。

配偶者控除を受けた財産については、その配偶者控除額に相当する金額は3年内の贈与の加算の対象とはなりませんから、今からでも可能な対策です。

2.住宅取得資金の贈与の活用

親や祖父母などの直系尊属から、住宅取得資金を贈与された場合には、一定の非課税限度額が設けられています。

本年中の住宅取得資金の贈与については、その対象となる住宅が省エネ等住宅の場合1,000万円、それ以外の住宅の場合には500万円が非課税として取り扱われます。

子供達が、住宅の取得を検討されていらっしゃる状況であれば、この制度を活用されると、非課税の適用を受けた金額は3年内の贈与の加算の対象となりません。

なお、この制度は来年も継続される見込みです。

3.教育資金の一括贈与の活用

平成25年4月より新たに設けられた、孫等への教育資金の一括贈与の非課税特例、受贈者1人あたり1,500万円についても、この非課税の適用を受けた金額については3年内の贈与の加算の対象に含まれません。

ただし、受贈者(贈与を受けた者)が30歳に達するなど、教育資金管理契約が終了した場合には、教育資金として使用しなかった残額について贈与税が課税されることとなりますが、この終了による残額の贈与に関しては、それが死亡の3年内であれば加算の対象となります。

4.孫への贈与

3年内の贈与の加算は、相続税の計算が必要な方が対象となりますから、相続人ではないお孫さんについては対象外です。

ただし、遺言によりお孫さんへ遺贈される場合には、そのお孫さんは相続税の申告が必要となりますので、3年内に贈与された贈与財産は相続税の計算上加算することとなります。

以上のとおり、3年内の贈与財産の加算に着目して、一般的に想定される生前贈与のケースを取り上げてみました。

ご自身やご家族の状況によって、実行可能な対策と実行困難な対策があると思われますが、是非ご検討いただきたいと思います。

なお、生前贈与対策以外に、相続財産の評価を下げる対策も考えられます。以前のメールマガジンでもご紹介したように、高層マンションの取得などはその一つです。

生前贈与対策、評価引下げ対策など総合的にご判断されると、より効果的な対策となりますので、ご参考ください。

《担当:樋口》

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