法人による賃貸経営について【不動産・税金相談室】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
相続

Q 現在、法人による賃貸経営について検討しています。
法人を設立することのメリットやデメリットなどを教えてください。

A 先月、安倍首相から、「来年度から数年かけて法人税の実効税率を20%台へ引き下げる」という発表がありました。

また、ここ数年の税制改正では、法人税率が30%から25.5%に引き下げられたり、復興特別法人税の1年前倒し廃止があったりなど、法人税率の引き下げは、既に始まっています。

一方で、個人の所得税については、来年から最高税率が40%から45%に引き上げられ、さらには、来年から相続税の大増税も始まります。

このように、近年の税制改正では、”個人増税、法人減税”というのが大きな流れになっています。

このような社会情勢の中、ご質問者様のように、最近、法人による賃貸経営への関心が高まっているようです。

しかしながら、この大きな流れだけを見て、会社を設立してしまうのは、大変危険です。

会社設立をお考えの方は、必ず事前に、個人で経営した場合と法人で経営した場合の最終的な手取り額などを、具体的にシミュレーションしてから実行するようにしてください。

そこで以下に、法人による賃貸経営のメリットとデメリットを、簡単にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

<メリット>
   
1.一般的に、個人の所得税率よりも、法人の法人税率の方が低い

2.オーナー以外の親族へ、給与を支払うことで所得を分散することができる。
 
※所得税は、所得が大きいほど税率が高くなるため、家賃収入を複数人でわけることで、税率を下げる効果があります。

3.不動産所得として申告するより、会社からの給与として申告することで、給与所得控除額が控除でき、節税になる。

4.将来、不動産を売却する際、個人と比べ、保険などの費用と売却益を相殺するなどのタックスプランニングが比較的容易に可能となる。

※デメリット4と合わせて、検討が必要です。

5.将来の相続税について、不動産をそのまま保有しているより、会社の株式として保有している方が、評価額が低くなる。

※ただし、取得後3年経たないと効果が出ません。

6.必要経費が個人と比べると認められやすい傾向にある。
 
※デメリット5と合わせて検討が必要です。

<デメリット>

1.法人の設立費用がかかってしまう。

2.法人住民税の均等割りや記帳代行、申告費用などの会社の維持コストが発生(増加)してしまう。

3.すでに、個人で不動産を持っている場合は、買い取り資金の調達が必要となり、また、移転コスト(登録免許税、不動産取得税など)がかかる。

※建物は簿価で譲渡することにより、譲渡所得税の課税は回避することができます。

4.将来、不動産を売却する場合は、個人の方が税率が低い可能性がある。

5.青色申告特別控除(最大65万円)が使えなくなる。

今回は、節税効果が一番高い、「法人が建物のみを所有する方法」を前提にご説明しましたが、個別事情によっては、「サブリース(転貸)方式」や、「管理のみを法人が行う方法」など、いろいろな形態がありますので、こちらも併せて検討してみてください。

《担当:高橋》