税制改正大綱について(所得税関係)【不動産・税金相談室】

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Q 昨年の12月12日に政府与党から平成26年度の税制改正大綱が発表されたとのことですが、所得税に関係する改正は、どのようなものがあるのでしょうか?

A 平成26年度の税制改正大綱は、個人の税金に関しては、主に次のような改正があります。

1.給与所得控除の上限引き下げ
2.NISAの改正
3.相続税の取得費加算の改正
4.ゴルフ会員権等の損益通算の廃止
5.耐震改修工事に関する改正

このうち4、5については前号に解説がありますので、ご参照ください。
  
以下、それぞれの改正について、簡単に解説していきたいと思います。

まず、給与所得控除の上限引き下げについてご説明させていただきます。

サラリーマンなどの給与所得の計算の際、給与所得控除として一定額を控除することができるのですが、これは、従来給与収入が多ければ多いほど上限なく、たくさん控除できるものでした。
  
これについて、平成24年の税制改正で一定の上限が設けられたのですが、今回の大綱では、さらに次のように上限額が引き下げられました。

●現行→給与収入1,500超の場合は245万円が限度
●平成28年分→給与収入1,200万円超の場合は、230万円が限度
●平成29年分以降→給与収入1,000万円超の場合は、220万円が限度

次に、NISAの改正についてです。

NISAの概要を簡単に説明しますと、金融機関に専用の口座を作り、そこに毎年100万円ずつ(500万円が上限)までの投資であれば、そこから得た運用益に対して、所得税を課税しないという制度です。

これについては、一度口座を開設すると、最短5年間は他の金融機関に変更することができなかったり、口座を廃止してしまうと、最長5年間は再び口座を開設することができないなど、とても不便な点が指摘されていました。

そこで今回の大綱では、事前に一定の手続きをすれば、金融機関の変更や、口座の再開設ができるように改正されました。

最後に耐震改修工事についてですが、これについては、不動産所得の特別償却に関する改正と、住宅ローン控除に関する2つの改正がありました。

まず、特別償却に関してですが、耐震改修促進法という法律が改正されたことにより、病院、学校、店舗、旅館など大勢の人が利用する建物については、耐震診断の実施と報告が義務付けられることとなりました。

これに対応して、税制では、この法律に基づく耐震診断および報告を平成27年3月31日までに行い、その結果、耐震改修工事を行った場合には、その工事金額の25%の特別償却ができることとなりました。

特別償却とは、通常の減価償却費に追加して減価償却費を計上できる制度です。

これはあくまで、減価償却費の前倒し計上にすぎませんので、長い目で見れば、基本的に税額が安くなるものではありません。

また、この耐震改修工事部分については、2年間固定資産税が半分になる措置も講じられています。

ただし、工事をしてから3ヶ月以内に市町村に申告書を提出する必要がありますので、注意が必要です。

次に、住宅ローン控除に関する改正ですが、中古住宅を取得した場合は、様々な要件が課せられますが、耐震基準に関する要件により適用を受ける場合には、事前に耐震基準を満たしている必要がありました。

つまり、耐震基準を満たしていない中古住宅を購入した場合は、その後耐震改修工事を行っても、住宅ローン控除の適用を受けることができなかったのです。

これを、今回の改正では、耐震基準を満たさない中古住宅を取得したとしても、事前に申請を行った上で、入居時までに耐震工事が完了していれば住宅ローン控除の適用を受けることができるようになりました。
  
以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

《担当高橋》