代償分割による譲渡所得【不動産・税金相談室】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
Apartment

Q 先日、農業を営んでいた父がなくなりました。
父の財産は自宅と小さな農地、それと生命保険ぐらいでしたので相続税はその生命保険で何とか賄うことができました。

私自身もちょうど定年を迎えたところですので、田舎へ帰り今後何年かは自給自足程度に畑を耕しながら老後の生活を送っていこうと思っています。

私には、東京に住んでいる弟がいますので、父の財産をすべて私が相続する代わりに、私がもともと持っていた東京都内の自宅を弟に渡すいわゆる代償分割という方法で父の遺産を分けることにしました。

これで、特に何の問題もなく相続を終えることができるとホッとしていたところ、税理士さんから
「あなたは、代償分割をしているので、弟さんに渡したご自宅に対して譲渡所得が発生し、所得税がかかります。」
と言われてしまいました。
  
私は、自宅を譲渡などした覚えはありませんし、譲渡代金ももらっていないのになぜ所得税がかかってしまうのでしょうか?

A あなたの疑問はごもっともだと思います。
例えば自宅を5,000万円で売却し、もうけが出たのであればそのもうけの中から税金を払うのは納得できますが、その譲渡代金ももらっていない中で…
「あなたは、家を売ってもうけたのだから税金を払いなさい。」
と言われても正直何の事だかわからないというのが一般的な感覚ではないでしょうか?

ところが、税金の世界ではこの代償分割について独特の考え方をします。

まず、代償分割とはどのようなものかをもう少し突っ込んでご説明しますと、
あなたは、この代償分割により以下の取引を同時に行っていることとなります。

1. 父の相続財産をすべて相続する
2. その代わりに弟に対して代償財産を交付する債務を負う
3. 代償財産を交付し、債務が消滅する

つまり、2でこの方は弟に対して借金をしたということになります。そして3では自宅という財産でその借金を返済したということになります。
  
またさらに、この3の取引については…
A 自宅を弟に現金で売却した
B Aの現金でそのまま借金を返済した

に分解することができます。(この実際にはない現金取引を経由する考え方は、税金の世界ではよく出てくる考え方ですので、知っておいていただくとよいかと思います。)

ここまで分解するともうピンときた方もいらっしゃるかもしれません。
そうです。このAに対して所得税が課税されることとなるのです。

なんだか一休さんのとんち話のようですが、税務上はこのように考え所得税が課税されてしまうのです。
ただし、この代償分割が自宅ではなく現金で行われた場合は所得税が課税されることはありません。

不動産をお持ちの方は、相続の際この代償分割を使うこともあるかと思いますが、代償財産は不動産などではなく、現金でされることをお勧めします。