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2014/08/29「アパートを安易に子供に贈与すると...」

Q 父はアパートやマンションをいくつか所有しており、毎年の所得税が、
  大変多くなり、いつも嘆いております。そこで、古くなって評価額も
  下がっているアパートの建物だけを、子供の私に贈与するということを
  考えております。何か注意することなどはあるでしょうか?


A 確かにアパートの建物だけを子供に贈与すると、家賃収入が子供に移り
  ますので、その分、親の所得税は減ることになります。所得税対策には
  よろしいかと思います。

  ただし、注意するのは贈与税や相続税です。

  当然、建物を贈与した時には贈与税の対象になります。建物の贈与税の
  課税標準は、固定資産税評価額が基本になります。毎年の固定資産税の
  納税通知書の後ろの方に評価額が載っていますので、確認してください。

  貸家の場合には、その固定資産税評価額の70%が贈与税の課税対象にな
  ります。その課税対象額が110万円を超えていれば、贈与税がかかって
  きます。贈与税の税率などは別途調べてみてください。

  古い建物であれば、評価額がかなり低い可能性がありますので、それ程
  贈与税も高くならないかも知れません。比較的新しいものであれば、
  それなりの評価額で、贈与税も高くなる可能性があります。

  その場合には、相続時精算課税という制度を使うことも考えられます。

  この制度は、贈与時には、2,500万円まで贈与税をかけない代わりに、そ
  の贈与した財産は、贈与した者の相続の時に、相続財産に含めて相続税を
  計算する、ということになります。

  したがって、贈与税はかからないけれども、相続税はかかる、ということ
  になりますね。なお、この相続時精算課税の対象になるかどうかは、いく
  つか要件がありますので、ご確認ください。

  また、これをやる際に注意すべき点としては、相続時精算課税を選択すると、
  その贈与者との間では、毎年の贈与税の基礎控除110万円が使えなくなって
  しまうということです。

  その結果、110万円贈与を活用した相続税対策ができなくなってしまいます
  ので、財産が多い方などは、よく検討された方が良いかと思います。


  さらに、相続に関して言えば、アパートの建物だけを贈与すると、その敷地
  の評価が上がってしまう、という点も注意しなければいけません。

  アパートが建っている土地は、貸家建付地といって評価減があります。
  アパートの建物だけを売ってしまうと、その土地は貸家建付地でなくなっ
  てしまいますので、その評価減が受けられなくなってしまいます。

  建物を贈与した子供とは、その敷地に関しては使用貸借(無償で貸す)と
  いうことになるかと思いますので、自用地として土地は評価減ができない
  のです。(土地の地代を払った場合は、また別の問題が発生しますので、
  先週のメルマガを参照してください)

  ただし、建物の賃借人が変わらない場合は、子供が建物を持っていても、
  親の土地は貸家建付地として評価減できる、という取り扱いもあります。
  ずっと賃借人が変わらなければいいのですが、そういう保証はありません
  ね。

  そこで、自分たちで法人を作って、その法人に建物を貸して、さらに実際
  に使う人に貸す、ということをやる対策もあります。サブリースの形です。
  そうすれば、賃借人は自分たちの会社ですので、変わることはありません。

  以上、単に建物だけを贈与すれば所得税が減るのでは、ということではなく
  様々なことを検討した上で、実行する必要があると思います。

                            《担当:北岡》



※本文で紹介させて頂いた内容は概略となります。
 詳細につきましては税務署または税理士等の専門家にご確認下さい。

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